サリオスの距離適性を血統的な側面から集計

皐月賞で距離不安を一掃した感のあるサリオス。
2着でしたが、圧巻のパフォーマンスでした。
実力的にはダービーはコントレイルとの2強ムード。
とはいえ、サリオスにとって悪しき前例は残されたままです。
2013/01から2020/05/03までの合計24488レースをもとに集計しています。
サリオスの馬体とクラシックのジンクス
2019年度の朝日フューチュリティを圧勝したサリオス。
レース当日の馬体重は538キロでした。
幼い面があるものの馬体は仕上がっている、と鞍上のムーア騎手はレース後に語っていました。
とはいえ、当時は2歳。身体的にも成長の余地は残されているでしょう。
500キロを上回る馬体重でダービーを制した馬はこれまでにもいますが、ここまでのサイズとなるといません。
集計期間中に530キロ以上の馬体重でクラッシックレースを制したのはキタサンブラックのみ(2015年度菊花賞)。
アルアインが518キロで2017年度の皐月賞を勝っています。
その他、アポロソニックが(2013年度ダービー 3着)、ブラストワンピースが(2018年度ダービー 5着、菊花賞 4着)でした。
同集計期間内においてマカヒキが502キロで2016年度ダービーを勝っています。
キタサンブラックはG1レースを530キロ台で2回、540キロ台で3回勝っていますが、その他となるとほぼ短距離馬か、ダート馬。
広い東京コースでマッチアップする相手との競り合いに負けることはなくても、馬体をあわせない形でより瞬発力ある馬が差してきたりしたらどうなるのか、レベルが上がり競争がタイトになった時にどうなるのか?
心配であり、楽しみでもあります。
サロミナ産駒の実績
サリオスの母であるサロミナ。
競争の記録が残っている産駒はサリオスを含め4頭。
父がハーツクライであるサリオス以外の3頭の父はディープインパクト。
馬名 | 性別 | 出走回数 | キャリア | 賞金 |
---|---|---|---|---|
サリオス | 牡 | 4 | 3-1-0-0 | 162487000 |
サラキア | 牝 | 15 | 2-3-1-9 | 106776000 |
サロニカ | 牝 | 12 | 2-1-1-7 | 38266000 |
サラミス | 牡 | 8 | 0-2-1-5 | 6025000 |
グレードレースを勝っているのはサリオスのみ。
サリオス以外のサロミナ産駒の距離実績は以下の通り。
条件 | 出走回数 | キャリア | 賞金 |
---|---|---|---|
芝1600 | 17 | 3-3-1-9 | 58146000 |
芝1800 | 8 | 0-3-0-5 | 51248000 |
芝2000 | 5 | 0-0-1-4 | 29340000 |
芝1700 | 1 | 1-0-0-0 | 10808000 |
芝1400 | 3 | 0-0-1-2 | 1525000 |
芝2200 | 1 | 0-0-0-1 |
トータル4勝のうちマイルで3勝。
サリオス自身の勝ったレースもマイルのみ。
実績からいえば、血統的に距離が延びるのはプラスとはいえなさそうです。
サリオスを除く3頭のサロミナ産駒はいずれも関西馬なので、中山での実績に乏しくトータルで3戦のみ。
サロニカがマイルの2勝馬クラスの特別レースで2着になったのが最高着順でした。
朝日杯フューチュリティステークスでサリオスが幼さを見せていたというのは、コーナリングにおいてのこと。
4つのコーナーにトリッキーな中山コース。
皐月賞の条件はサリオスにとってプラスにはなりませんでした。
しかし、資質の高さに驚いた人も多かったのではないでしょうか。
日本ダービーにおけるハーツクライ産駒の実績
皐月賞よりはるかに結果はポジティブです。
2014年にワンアンドオンリーが優勝しています。
2017年にはスワーブリチャードが2着、マイスタイルが4着。
年度 | 馬名 | 人気 | 着順 |
---|---|---|---|
2019 | シュヴァルツリーゼ | 9 | 16 |
2018 | グレイル | 9 | 14 |
2018 | タイムフライヤー | 14 | 11 |
2018 | アドマイヤアルバ | 17 | 9 |
2018 | ゴーフォザサミット | 7 | 7 |
2017 | マイスタイル | 14 | 4 |
2017 | スワーヴリチャード | 3 | 2 |
2015 | ベルラップ | 14 | 15 |
2014 | ワンアンドオンリー | 3 | 1 |
2020年度はサリオス、ワーケア、マイラプソディという過去最強の陣容でダービーを迎えることになります。
各馬にとって、皐月賞よりもダービーの方がやりにくいということはありえないでしょう。
皐月賞の後、競馬評論家の安藤勝己氏は
サリオスは追えば追うだけ伸びる。相手待たずに早く抜け出してもよかった
結果論としながらも、コントレイルに対抗できるサリオスの強みについてコメントしました。
同氏は、コントレイル < サリオスである理由として伸びしろをあげています。
完成しているコントレイルと成長の余地のあるサリオス。
コントレイルの距離適性はマイルから2000mくらいと語り、サリオスの距離適性については一切問題にしていません。
サリオスのみならず、ハーツクライ産駒にとって皐月賞の条件からダービーに変わることはプラスになるといっていいでしょう。
ハーツクライ産駒の活躍馬の傾向
集計期間中、ハーツクライ産駒はG1レースを12勝しています。
JRAの主催競争のみの条件だと、リスグラシューが3勝、スワーブリチャードが2勝、ジャスタウェイが2勝。
あと牝馬ではヌーヴォレコルトG1ホルダーです。
馬名 | 勝利数 | 賞金 |
---|---|---|
リスグラシュー | 3 | 564576000 |
スワーヴリチャード | 2 | 426594000 |
シュヴァルグラン | 1 | 303654000 |
ジャスタウェイ | 2 | 239476000 |
ワンアンドオンリー | 1 | 231360000 |
ヌーヴォレコルト | 1 | 125042000 |
タイムフライヤー | 1 | 71204000 |
サリオス | 1 | 71134000 |
G1を勝った年齢で集計すると結果は以下の通り。
馬齢 | 勝利数 |
---|---|
2歳 | 1勝 |
3歳 | 2勝 |
4歳 | 3勝 |
5歳 | 5勝 |
集計にサリオスの勝利は含んでいません。
2歳でG1を勝ったタイムフライヤー。
3歳でオークスを勝ったヌーヴォレコルト、ダービーを勝ったワンアンドオンリー。
いずれもG1の勝利はそれきりでした。
4歳でG1を勝ったハーツクライ産駒はG1レースで複数勝利をあげています。
サリオスが3歳でG1レースを勝てば、ハーツクライ産駒にとって初めての事例となります。
一方で前例に倣えば、2歳でG1レースを勝っているサリオスは今後G1レースを勝てない、ということになります。
まとめ
負けたとはいえ、皐月賞は圧巻のパフォーマンスでした。
これまで2回連続でサリオスに騎乗したジョッキーはいません。
何もなければダミアン・レーンはダービーでサリオスに騎乗することになります。
これはプラスが期待できる要素です。
サリオスのダービーにおける心配なジンクスといえば、大きすぎる馬体。
当日は何キロで出走するかわかりませんが、極端なマイナスにはならないでしょう。
サリオスには2歳でG1を勝ち、3歳でもG1のタイトルを手にする可能性が十分にあります。もし、それがかなえば、ハーツクライ産駒として初めてのことです。
ダービーに勝つことができればさらに前例は覆されレコードは更新されることになります。
種牡馬としての期待も大きいだけに、ノーザンファームの生産馬を代表する存在として日本ダービーでは最高のサリオスが見られるはずです。
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