マイラプソディがいかにハーツクライ産駒として例外的な存在であるか

2020年4月29日マイラプソディハーツクライ, マイラプソディ, 友道厩舎, 成績, 距離適性

3戦3勝で共同通信杯(G3)に挑むマイラプソディ。

何となく2018年、2戦2勝で同レースに出走し、1番人気に支持されたグレイルとかぶってしまい、実際のところハーツクライ産駒と共同通信杯、ひいては東京の芝1800mの相性はどうなのか?

調べてみました。

完成度や器用さという点でディープインパクト産駒には劣る3歳のハーツクライ産駒。

クラッシック戦線、3歳の2月から6月くらいにかけての実績を中心に検証してみます。

2013/01から2020/02/09までの合計23680レースをもとに集計しています。

ハーツクライ産駒と共同通信杯(G3)の相性

スワーヴリチャードは同レースに挑むまで新馬戦、東京スポーツ杯2歳S(G3)で2度他馬に先着を許していましたが、共同通信杯(G3)ではようやくすべてが噛み合ったようなパフォーマンスで圧勝。

スワーヴリチャードは後に大阪杯、ジャパンカップを勝ち、引退しました。

3歳時にG1レースを勝つことはできませんでしたが、東京コースでは9走して3-2-2-2。

何故か天皇賞秋では全く結果が出ませんでした。

以下、ハーツクライ産駒の共同通信杯における戦績です。

年度 馬名 着順
2018 グレイル 7
2018 ゴーフォザサミット 4
2017 チャロネグロ 8
2017 スワーヴリチャード 1

いまいちピンとこないのでディープインパクト産駒と共同通信杯の戦績も載せておきましょう。

そもそも出走頭数からしてハーツクライ産駒とは違います。

見づらいかもしれないので、集計結果だけを書き出すと3-2-4-10です。

3勝、2着が2回。

3着以内に入れなかった馬も10頭いたわけですが、4着が1頭、5着が2頭。

掲示板に載れなかったディープインパクト産駒は19頭中、9頭のみということになります。

年度 馬名 着順
2019 ダノンキングリー 1
2019 ゲバラ 5
2018 サトノソルタス 2
2018 ブラゾンダムール 6
2017 ムーヴザワールド 3
2016 ディーマジェスティ 1
2016 キングオブアームズ 7
2016 ハートレー 9
2015 リアルスティール 1
2015 アンビシャス 3
2015 アヴニールマルシェ 5
2015 ソールインパクト 6
2015 ティルナノーグ 7
2014 ガリバルディ 12
2014 ベルキャニオン 2
2014 サトノアラジン 3
2014 ローハイド 7
2013 マイネルストラーノ 3
2013 ラウンドワールド 4

やはり、3歳の春を迎えるこの段階における完成度においてディープインパクト産駒とハーツクライ産駒とでは埋めがたい差があるのではないかという結果が出ています。

3歳のハーツクライ産駒と東京コースの相性

そこへきて、3歳のダービーが行われる時期までという条件をつけるとハーツクライ産駒は東京コースでどれだけ活躍できているのか?

調べてみました。

集計期間中、2歳時に東京で2勝以上あげているハーツクライ産駒は3頭です。

7年以上の履歴の中で3頭しかいない馬のうち、2頭が本年度3歳牡馬というのはハーツクライ産駒にとって良い兆候です。

当たり年といえるでしょう。あと、例年はもっと層が厚いディープインパクト産駒ですが、2020年度クラシック戦線に関しては今ひとつといった感じでしょうか。

馬名 出走回数 1着
サリオス 2 2
ワーケア 2 2
ディアマイダーリン 2 2

明け3歳、クラシックに向けてのレースが行われるのも3月一杯まで。

その期間、東京で行われる3歳重賞はクイーンCと、共同通信杯の2レースのみ。

集計期間中のハーツクライ産駒の実績は以下の通り。

馬名 出走回数 1着 2着 賞金
スワーヴリチャード 1 1 0 38406000
アドマイヤミヤビ 1 1 0 35581000
マジックタイム 1 0 1 14176000

2020年のディープインパクト産駒にはコントレイルがいるだけで、後に続く馬がいません。

層の厚さだけでいえば、マイラプソディ、サリオス、ワーケアのいるハーツクライ産駒の方が上でしょう。

マイラプソディとサリオスが例外的な存在であるところ

2頭はともにここまで3戦3勝。

荒削りなうえ、完成度という点で遅れをとりがちなハーツクライ産駒の事例において見られなかったことです。

以下、2歳時に2勝以上あげたハーツクライ産駒の一覧です。

3戦3勝はマイラプソディとサリオスのみ。

2頭ともにハーツクライ産駒らしさを孕みつつ、連勝しています。これは単純に能力が高いからこそできることであり、他馬が2頭の水準にはないという意味でもあります。

馬名 出走回数 1着 賞金
サリオス 3 3 111449000
マイラプソディ 3 3 56455000
タイムフライヤー 5 3 108259000
ベルラップ 5 3 49462000
リスグラシュー 4 2 63812000
アドマイヤエイカン 4 2 52078000
ウーマンズハート 3 2 48367000
ワンアンドオンリー 6 2 45671000
ワーケア 3 2 42313000
グレイル 2 2 40329000
ナヴィオン 5 2 31284000
カテドラル 3 2 23147000
ティーエスクライ 5 2 20909000
アフランシール 4 2 20394000
アドマイヤミヤビ 3 2 18059000
シンプルゲーム 3 2 18017000
アダムバローズ 4 2 18003000
マジックタイム 4 2 17566000
トーホウアイレス 3 2 17280000
コートシャルマン 3 2 17017000
ディアマイダーリン 4 2 16373000
ゴーフォザサミット 3 2 15896000
ヌーヴォレコルト 3 2 15831000
サトノスーペリア 4 2 15500000
ヒュッゲ 3 2 15238000

春のクラシックレースにおけるハーツクライ産駒の実績

ハーツクライ産駒は荒削り、完成度で劣る。

3歳春に行われるクラシックレースでは致命的ともいえるウィークポイントです。

リスグラシューやジャスタウェイのようにキャリアを積んで研ぎ澄まされていった馬たちに代表されるハーツクライ産駒がこれまでクラシックレースでどのような結果を残してきたかをレースごとに見ていきましょう。

桜花賞におけるハーツクライの成績

そもそも集計期間中の出走馬自体が5頭のみと少ないです。

やはり、3歳のこの時期に行われるマイルG1となると、ハーツクライ産駒には分が悪いのでしょう。

リスグラシューが最終的に到達したレベルからすれば、桜花賞における同馬が素質だけで走っていたということがわかります。

しかし、リスグラシューやヌーヴォレコルトのように、ここで上位に食い込むことができればその馬の前途は明るいとも見れます。

年度 馬名 着順
2019 ノーワン 11
2017 リスグラシュー 2
2017 アドマイヤミヤビ 12
2014 ヌーヴォレコルト 3
2013 コレクターアイテム 15

皐月賞におけるハーツクライの成績

9頭の出走記録がありました。

スピードと器用さが求められる同レース。ハーツクライ産駒にとって有利とはいえない条件です。

最先着はワンアンドオンリーの4着。のちにダービー馬になりました。

6着だったスワーブリチャードはダービーで2着。グレイルは14着。

グレイルに関しては東京と中京での戦績がまったくなので、左回りがダメというふうに結論づける人もいるでしょう。

年度 馬名 着順
2019 シュヴァルツリーゼ 12
2018 グレイル 6
2018 タイムフライヤー 10
2017 スワーヴリチャード 6
2017 アダムバローズ 17
2017 マイスタイル 16
2015 ベルラップ 14
2014 ワンアンドオンリー 4
2013 フェイムゲーム 12

オークスにおけるハーツクライの成績

出走した頭数は12頭。

しかし、勝ったのはヌーヴォレコルトのみ。

連帯もありません。

アドマイヤミヤビは同レースでリスグラシューに先着しています。

しかし、同馬はこのレースを最後に残念なが引退をしています。

年度 馬名 着順
2019 シャドウディーヴァ 6
2019 ノーワン 18
2018 トーホウアルテミス 14
2017 マナローラ 8
2017 リスグラシュー 5
2017 アドマイヤミヤビ 3
2017 ホウオウパフューム 16
2017 レッドコルディス 15
2017 ハローユニコーン 14
2016 フロムマイハート 16
2015 ディアマイダーリン 11
2014 マジックタイム 13
2014 ヌーヴォレコルト 1

日本ダービーにおけるハーツクライの成績

出走した頭数は9頭。

先述したとおり、ワンアンドオンリーが唯一、ハーツクライ産駒のダービー馬となっています。

しかし、その後のキャリアはダービー馬にふさわしいものになりませんでした。

スワーヴリチャードが2着。スワーヴリチャードは古馬になってからG1レースを2勝しました。

年度 馬名 着順
2019 シュヴァルツリーゼ 16
2018 アドマイヤアルバ 9
2018 ゴーフォザサミット 7
2018 グレイル 14
2018 タイムフライヤー 11
2017 マイスタイル 4
2017 スワーヴリチャード 2
2015 ベルラップ 15
2014 ワンアンドオンリー 1

ハーツクライ産駒×武豊騎手の相性

集計期間中、マイラプソディの主戦ジョッキーである武豊騎手は、231回ハーツクライ産駒に騎乗し、32勝しています。

勝率は約14%。

連帯率は25.5%でした。

この数字自体ではちょっとわかりにくいので、ほかのリーディング上位種牡馬のデータを以下に記載します。

種牡馬 出走回数 1着 勝率/連対率 賞金
ディープインパクト 521 85 16.3% / 30.3% 2905283000
キングカメハメハ 281 53 18.9% / 35.9% 1251693000
ハーツクライ 231 32 13.9% / 25.5% 835535000
ステイゴールド 96 14 14.6% / 30.2% 373635000
ルーラーシップ 72 12 16.7% / 36.1% 247866000
ロードカナロア 49 9 18.4% / 26.5% 194726000

上記のデータは新馬戦も未勝利も含んだデータなので、グレードのあるレースのみで絞ると結果は以下の通りになります。

種牡馬 出走回数 1着 勝率/連対率 賞金
ディープインパクト 106 16 15.1% / 23.6% 1824989000
キングカメハメハ 41 4 9.8% / 19.5% 500622000
ハーツクライ 29 5 17.2% / 31.0% 396361000
ステイゴールド 10 1 10.0% / 40.0% 111579000
ロードカナロア 9 2 22.2% / 33.3% 109619000
ルーラーシップ 7 0 0.0% / 0.0% 86291000

ハーツクライ産駒でのグレードレースでの勝利は、リスグラシューで2勝。メイショウナルト、グレイル、そしてマイラプソディの計5勝でした。

まとめ

2020年度、牡馬クラッシックレースにおいて完成度という点でコントレイルを上回る馬はいないでしょう。

能力は申し分ないのでしょうけれども、この血統の前例を見れば時間の経過とともに他馬との間にあるギャップは埋められていくのかもしれません。

サリオスはマイラプソディと同様、この時期までに3戦3勝という例外的なハーツクライ産駒ですが、まだマイルでの経験しかありません。

まだまだ未完成なのでしょうけれども、マイルのペースに慣れてしまっていることが今後のレースにおいてどのように影響するのかは興味深いところです。

マイラプソディは3歳のクラッシックを前にサリオスと同じくハーツクライ産駒としては例外的な成績をあげています。

共同通信杯に勝つことができれば4戦4勝。

おそらく、前例からいって伸びしろでいえば、コントレイルよりもサリオス、マイラプソディのほうがあるはずです。

マイラプソディの魅力は能力と完成度の低さでしょう。

キャリアを積む中でどのように変わっていくことができるか、まだ気性面で全然走らない可能性も残されています。

そういう意味でマイラプソディは有力馬のなかで最も得体の知れない存在といえるのかもしれません。