ワーケアの距離適性、競争馬としての特長を血統的な側面から集計

弥生賞2着からダービーに出走するワーケア。
2着で終えた同レース後のコメントで手塚師は皐月賞に出走する旨のコメントをしていました。
しかし、弥生賞に向けワーケアが帰厩した2月、
まだ体質が弱く、疲れが抜けるのに時間を要する馬。もし弥生賞を勝って賞金を加算できるようなら、皐月賞はパスしてダービーに直行することも考えている
ともコメントしていました。
弥生賞からの間隔は84日。
異例のローテーションですが、どうあれダービーではルメールが騎乗することが決まっています。
2013/01から2020/05/10までの合計24557レースをもとに集計しています。
BMSがオラトリオである馬の戦績
集計期間中、出走の記録が残っている馬は9頭。
芝での競争という条件を付けて集計した結果です。
勝ち上がっているのは4頭。
馬名 | 出走回数 | キャリア | 勝率/連対率 | 賞金 |
---|---|---|---|---|
エンジニア | 31 | 5-4-4-18 | 16.1% / 29.0% | 100868000 |
ダノングレース | 15 | 4-1-2-8 | 26.7% / 33.3% | 67189000 |
ワーケア | 4 | 2-1-1-0 | 50.0% / 75.0% | 64537000 |
ダイアナブライト | 5 | 1-2-0-2 | 20.0% / 60.0% | 10150000 |
オーシャンセブン | 4 | 0-1-1-2 | 0.0% / 25.0% | 4550000 |
ダンツサトリア | 4 | 0-0-0-4 | 0.0% / 0.0% | 1100000 |
マビヨン | 2 | 0-0-0-2 | 0.0% / 0.0% | |
ドンドンキードン | 3 | 0-0-0-3 | 0.0% / 0.0% | |
キスオンザグリーン | 5 | 0-0-0-5 | 0.0% / 0.0% |
現在獲得賞金ではトップのエンジニア以外はワーケアの母であるチェリーコレクトの産駒です。
エンジニアの父はシーザスターズ。
キャリアのハイライトは2018年、ブラストワンピースが勝った新潟記念の4着でしょうか。
結果を出している距離は芝のマイルから2000m。この傾向はチェリーコレクトの産駒とも共通しています。
BMSがオラトリオである馬の距離実績
2勝クラスでの成績という条件を付けて集計をしてます。
ワーケアもその上も芝の1800mで結果を残しています。
芝2000mでの1勝はエンジニアが2018年に中京の準オープンクラスであげたもの。
ワーケア自身も勝利実績は芝の1800mのみ。
エンジニアとワーケアを含めたチェリーコレクトの産駒に共通していることは速い勝ち時計がないことです。
傾向からいって悪い馬場は苦にしないでしょう。
ダイアナブライトは現在ダート競争を中心に走っています。
パワータイプといってしまえばそれまでですが、軽い馬場での時計決着においてワーケアは後手に回ってしまうかもしれません。
チェリーコレクトの産駒の実績
チェリーコレクトの産駒はワーケアを含め3頭。
ハーツクライを父に持つワーケア以外の2頭の父はディープインパクト。
いずれも勝ち上がっており、複数勝利をあげています。
馬名 | 出走回数 | キャリア | 勝率/連対率 | 賞金 |
---|---|---|---|---|
ダノングレース | 15 | 4-1-2-8 | 26.7% / 33.3% | 67189000 |
ワーケア | 4 | 2-1-1-0 | 50.0% / 75.0% | 64537000 |
ダイアナブライト | 8 | 2-3-0-3 | 25.0% / 62.5% | 21850000 |
数字だけを見れば堅実。
悪く言えば勝ち切れない、決め手にかけるといったところでしょうか。
先述した通り、速い時計勝負で難があるような傾向がみられます。
チェリーコレクトの産駒の距離実績
距離 | 出走回数 | キャリア | 勝率/連対率 | 賞金 |
---|---|---|---|---|
芝1800 | 14 | 6-1-1-6 | 42.9% / 50.0% | 87455000 |
芝2000 | 5 | 0-3-1-1 | 0.0% / 60.0% | 44762000 |
芝1500 | 2 | 1-0-1-0 | 50.0% / 50.0% | 9659000 |
ダ1700 | 1 | 1-0-0-0 | 100.0% / 100.0% | 7600000 |
ダ1800 | 2 | 0-1-0-1 | 0.0% / 50.0% | 4100000 |
芝1600 | 3 | 0-0-0-3 | 0.0% / 0.0% |
全8勝のうち6勝が芝1800m。
それを超える距離での勝ちはありません。
2017年度ハーツクライ産駒は当たり年か?
現状の形勢からいってこれはもはや過去の話といっていいでしょう。
サリオス、マイラプソディ、ワーケア。
この3頭は2019年度まではまだクラシック候補でした。
2019年度2歳牡馬の賞金ランキング上位10頭は以下の通り。
馬名 | 父 | 出走回数 | キャリア | 賞金 |
---|---|---|---|---|
サリオス | ハーツクライ | 3 | 3-0-0-0 | 111449000 |
コントレイル | ディープインパクト | 3 | 3-0-0-0 | 111267000 |
タイセイビジョン | タートルボウル Turtle Bowl | 4 | 2-2-0-0 | 85862000 |
マイラプソディ | ハーツクライ | 3 | 3-0-0-0 | 56455000 |
マイネルグリット | スクリーンヒーロー | 5 | 3-0-0-2 | 54672000 |
ビアンフェ | キズナ | 5 | 2-2-0-1 | 54468000 |
ヴェルトライゼンデ | ドリームジャーニー | 3 | 2-1-0-0 | 52423000 |
レッドベルジュール | ディープインパクト | 3 | 2-0-0-1 | 45406000 |
ラインベック | ディープインパクト | 4 | 2-0-1-1 | 42539000 |
ワーケア | ハーツクライ | 3 | 2-0-1-0 | 42313000 |
ブラックホール | ゴールドシップ | 4 | 2-1-0-1 | 39227000 |
しかし、残っているのはサリオスのみ。
馬名 | 父 | 出走回数 | キャリア |
---|---|---|---|
コントレイル | ディープインパクト | 4 | 4-0-0-0 |
ラウダシオン | リアルインパクト | 7 | 4-1-1-1 |
サリオス | ハーツクライ | 4 | 3-1-0-0 |
タイセイビジョン | タートルボウル | 6 | 3-2-0-1 |
オーソリティ | オルフェーヴル | 5 | 3-0-1-1 |
ガロアクリーク | キンシャサノキセキ | 5 | 2-0-1-2 |
ルフトシュトローム | キンシャサノキセキ | 4 | 3-0-0-1 |
サトノフラッグ | ディープインパクト | 5 | 3-0-0-2 |
ヴェルトライゼンデ | ドリームジャーニー | 5 | 2-2-0-1 |
ディープボンド | キズナ | 6 | 2-1-1-2 |
ちなみにワーケアはディープボンドの次の11位。
マイラプソディは13位。
ワーケアにしろサリオスにしろダービーを目標にしているので賞金が加算されないのは仕方がありませんが、勝ちがなければ印象は薄らぎ、加算される賞金も少なくなります。
ダービーはコントレイルとサリオスの2強。
次々と候補が脱落していった結果、2頭に次ぐ存在と目されているのはワーケアかもしれません。
まとめ
弥生賞で賞金を加算し、皐月賞をパスしてダービーというローテーションは2月の帰厩時点からあったもの。
ルメールが中山でのワーケアの走りについて
反応が良くない、左回りの方がいい
と言っていたことを考慮に入れてのことだとか。
距離は2000m以上欲しいともコメントしていました。
左回り、2000m以上の距離、ワーケアにとってダービーの条件は中山の2000mよりもはるかに適しています。
実際、ダービーで騎乗するのはルメール。
サトノフラッグというオプションもあったのかもしれませんが、ワーケアに継続騎乗が決定しています。
ステップレースを使わず本番へ。
ワーケアにとってベストな選択は結果として異例と評されました。
ワーケアを管理する手塚厩舎はフィエールマンで同様のローテーションで実績をあげています。
もっとも注目が集まる舞台に前例のないプロセスで挑み、結果で応えることができたなら、皐月賞の意味合いは変わってくるでしょう。
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