モズベッロの距離適性を血統的な側面から集計

2020年度日経新春杯、日経賞と目覚ましいパフォーマンスを見せたモズベッロ。
天皇賞春のダークホースの一頭と捉えている人も多いでしょう。
BMSはハーランズホリデー。
日本では輸入された馬が現役で活躍しています。
父親はディープインパクト産駒として初めてダービーを勝ったディープブリランテ。
種牡馬としての実績は芳しくありませんが、モズベッロの活躍で評価が見直される可能性もあります。
2013/01から2020/04/21までの合計24419レースをもとに集計しています。
BMSがハーランズホリデーである馬の戦績
集計期間中、8頭のBMSがハーランズホリデーである馬の記録がありました。
そのうち勝ちがあるのはモズベッロ、ヒルノアトラーニ、ホリデーモードの3頭。
いずれも牡馬です。
モズベッロとヒルノアトラーニの母は同じハーランズロマン。
ホリデーモードは外国産馬です。
芝コースでの実績があるのは、モズベッロとホリデーモード。
BMSがハーランズホリデーである馬の芝のレースにおける距離実績を賞金ベースでソートすると結果は以下の通り。
馬名 | 戦績 | 賞金 |
---|---|---|
芝2400 | 2-0-0-2 | 73190000 |
芝1800 | 2-4-0-3 | 32960000 |
芝2500 | 0-1-0-1 | 29984000 |
芝2000 | 1-0-0-6 | 7900000 |
芝2200 | 1-0-0-3 | 7500000 |
芝1600 | 0-0-1-3 | 1805000 |
芝2600 | 0-0-0-1 | |
芝1400 | 0-0-0-2 | |
芝1200 | 0-0-0-1 |
実績からすれば中・長距離といった感じでしょうか。
とはいえ、ほぼモズベッロの実績といって差し支えありません。
ディープブリランテ産駒の主な距離実績
キズナ産駒の活躍によってさらに隅に追いやられそうなディープブリランテ。
実際のところどういった条件で産駒は活躍しているのか見ていきます。
集計期間中、287頭の産駒が出走し、重賞レースを勝っているのはモズベッロとセダブリランテスの2頭。
距離実績を芝の3勝クラス以上という条件付きで調べると結果は以下の通り。
距離 | 出走回数 | 戦績 | 賞金 |
---|---|---|---|
芝1600 | 55 | 3-4-4-44 | 155366000 |
芝1800 | 23 | 2-1-1-18 | 88268000 |
芝2400 | 5 | 1-0-0-4 | 58008000 |
芝2000 | 12 | 1-1-0-10 | 56355000 |
芝2500 | 3 | 0-1-1-1 | 44146000 |
芝1400 | 22 | 0-0-3-19 | 26011000 |
芝1200 | 15 | 0-1-0-14 | 12496000 |
芝2200 | 2 | 0-0-0-2 |
良績はマイルから1800mという狭いレンジ。
出走回数と産駒の距離適性に相関があるのならば、1200mから1800mまでということでしょう。
2000mを超える距離で、この条件で活躍しているモズベッロは例外的な存在です。
モズベッロはG1クラスで通用するか?
いつの時代もマイルから2000m、2000mから2400mという条件は層が厚く、そこでタイトルを取るのは運と実力が求められます。
例えば、モズベッロと同世代のダノンキングリーやヴェロックスといった実力馬が今後国内でG1のタイトルを取れるかどうかは微妙です。
どの距離にもスペシャリストがおり、巡り合わせのようなものが重要になってきます。G1という舞台で実力をぶつけ合ってアーモンドアイやインディチャンプを負かすことは厳しいでしょう。
モズベッロにとって日経新春杯はそういうレースでした。
斤量は52キロ。
年明けのコンディションの良くない京都競馬場。
G2でしたが、実際はオープン特別クラス同然のメンバー。
巡り合わせを利して手にしたレースであるという色合いが濃いです。
続く中山の日経賞(G2)は別定戦。
勝ったミッキースワローの横山典弘騎手は、
直線では1頭になるとフラフラしたり、余力があるのに一生懸命に走らなかったりとヒヤヒヤしますが、力通りの結果でした。
とコメントし、1馬身1/4という着差以上に余裕があったと述べました。
2着に敗れたモズベッロの池添騎手は、
もたれるところがある馬で、道中は我慢していたのですが、勝負所でもたれてしまいました。直線でまっすぐ走れていれば、差し切る勢いでしたから残念です。ただ今回は56kgですから、幼い面が解消されてくれば、さらにやれると思います
と敗因について述べました。
まだ良化の途上、日経賞レベルのレースに勝つには改善の余地があるようです。
G1ではさらに距離が伸びて斤量は2キロ増えるうえ、さらに相手は強化されるので常識的には厳しいといえるでしょう。
まとめ
集計期間中の天皇賞春に限っていえば、G1初挑戦の馬が3着以内に入った記録はありません。
ついでに、ディープブリランテ産駒のG1レースの実績は以下の通り。
年度 | 馬名 | レース | 着順 |
---|---|---|---|
2019 | メイショウオワラ | ヴィクトリアマイル | 17 |
2017 | メイショウオワラ | 秋華賞 | 16 |
2017 | リカビトス | 秋華賞 | 10 |
2017 | ディーパワンサ | 優駿牝馬 | 17 |
2017 | ナイトバナレット | NHKマイルC | 16 |
2016 | ジャストザマリン | 阪神ジュベナイルF | 16 |
2016 | スズカゼ | 阪神ジュベナイルF | 10 |
2016 | ディーパワンサ | 阪神ジュベナイルF | 4 |
最内に入ったというアドバンテージだけでは覆すことが難しい前例がモズベッロには立ちはだかっています。
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